丸棒を、直接止める![]() |
平取りを丸棒に付けて、止める![]() |
調整ねじとして使う![]() |
丸シャフトが比較的柔らかくて、止めネジの方が固い時、丸シャフトの外径表面に傷が付きます。
外径表面に傷が付くと丸シャフトを再調整する時に動きにくくなりますが、その様な時には図2の様に、シャフトに平取りをします。
図をクリックすると、その拡大図を表示します。
丸シャフトの外径表面に傷を付けたくない時に使いますが、組立て時に平取りと止めネジとの位置合わせに、少し手間が掛ります。
しかし平取りを使って止めると、とがり先止めネジや、くぼみ先止めネジを使って、止めネジを相手材に食い込ませて、より強固に止める事も可能となります。
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上下位置を調整する時の精度には、調整ネジ先端部の直角精度と平面精度が重要となります。
調整ネジ先端平部が斜めだったり、平面が荒れていたら、調整ネジをどんなに正確に回しても、シャフトの正確・精密な調整はできません。
そして更に精密な微調整をしたい時には、ねじのピッチを並目から細目に変更する事をお薦め致します。(参考:並目と細目の使い分け)
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円錐状のクボミに止める![]() |
凹状の溝に止める![]() |
(ここは空白です) |
丸シャフトの外周面に円錐状クボミを付け、そこに止めねじ のとがり先を落とし込んで、長手方向と回転方向の位置決めをする止めねじ としての使い方例です。
とがり先止めねじ先端角度の標準は90°ですが、止めねじ全長の短いものは120°です。また、”とがり先” の事を ”剣先” と呼ぶ方もおられます。
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丸シャフトの外周面に一周の凹状溝(又はV状溝)を付け、そこに止めねじ のとがり先を落とし込んで、長手方向の位置決めをする止めねじ としての使い方例です。
この時、丸シャフトの硬度(硬さ)と止めネジの硬度(硬さ)に、注意が必要です。止めねじの方か硬いと丸シャフトに傷を付けてしまい、
止めねじを緩めた時の丸シャフトがスムースな動きをしなくなる可能性が有ります。
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とがり先止めねじ は、先端を相手に食い込ませて止める時のとしても使います。
相手側に食い込ませる為には、相手側よりも止めねじ先の方が固くなければなりません。
丸棒の回転をキー溝で規制し 長手方向を止める ![]() |
丸棒の回転をキー溝で規制し 長手方向は自由 ![]() |
(ここは空白です) |
キー溝に棒先部を落とし込んで、棒先先端部でキー溝底部を止め、回転を規制しつつ長手方向の位置決めに用いる使い方例です。
これは「棒先止めねじ」を、キー溝付き丸棒の「止めネジ」として使っています。
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丸棒のキー溝に、棒先止めねじの 棒先部を途中まで落とし込んで(浮かして)、 棒先止めねじの棒先部を簡易的な丸キーとする使い方例です。
これは、キー溝付きシャフトを回転方向には拘束し、長手方向には自由に動けるようにする構造の時に用いる、一つの方法です。
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この時は、棒先止めねじ(図では棒先イモネジと表記)の先端を押し付けて止めるのでは無い(浮いている)ので、棒先止めねじの固定方法として、下記のような対策が必要です。 それぞれ一長一短が有りますが、図7の横ねじ方式は加工が複雑ですが、機械屋としての私には確実な止め方として好みの方法です。
【キーとしての棒先イモネジの固定方法・各種】
平先止めネジと、ほぼ同様の使い方です。理論的には、丸先止めネジはネジ先の中心一点で相手側に当たるので、締め付ける時に相手材に「よじれ」を起こしにくいです。
止めネジ先の中心一点で相手側に当たる、と言う事ではとがり先止めネジと似ていますが、 丸先止めネジは相手側に傷を付けにくい事と、自分自身の先端が変形しにくい事が、特徴です。
また、イモネジの先端を相手側平坦面に当てて、その位置を調整する場合い、 丸先イモネジは回した時に先端の面振れが少ないので、微調整に効果を発揮します。
ただし、イモネジを調整ネジとして使う時に、さらなる微調整が必要でしたら、 ネジピッチに細目をお使いになる事をお勧めいたします。
真鍮製 M2xP0.25 の丸先・細目の調整ネジの写真と図です。
(参考:呼び径 M2 のネジピッチは、並目ピッチは0.4mmで、細目ピッチは0.25mmです。)
弊社はネジ部の加工を、バイトで切削する為、細目の加工に何の問題もありません。
また、古いJIS規格(B1117-1980)と、新しいJIS規格(B1117-1988)とでは、丸先の R 形状(寸法)に違いがあります。
古いJIS規格(B1117-1980)とは、1980年に制定された規格で、
新しいJIS規格(B1117-1988)とは、1988年に制定された規格です。
下記に、M2 の丸先形状で比較してみます。
左の図が古いJIS規格(B1117-1980)で、丸先部の高さ=0.4mmで規定しています。
右の図が新しいJIS規格(B1117-1980)で、丸先部の半径=R2.8mmで規定しています。
昔のは R 部の高さがモッコリ気味で、今のは R 部の高さがフラット気味です。
私(斉田孝次)の個人的な好みでございますが、古いJIS規格である左図のR形状の方が好きですので、DEL規格では古いJIS規格のR形状を採用しました。
また、イモネジの丸先は、JIS規格にはありますが、ISO規格にはありません。
そして、六角穴付き止めねじ の丸先は、以前のJIS規格(B1117-1988)に規格はありましたが、 今使われているJIS規格(B1117-1997)には、ありません。
止めネジを締め付けた時、相手(平坦面や、シャフトの外周面)に食い込ませ、傷を付けて止める時の、止めネジとして使います。
相手側に傷を付ける為には、相手側よりもネジ先の方が固くなければなりません。
くぼみ先・とがり先止めネジを使って、相手材に食い込ませてしっかりと取り付けたい時。
(相手の硬さ)より(イモネジの先端部硬さ)を硬くします。
(相手の硬さ)<(イモネジの先端部硬さ)
後で取り外す時に、傷が付いていると取り外し難くなるので、傷を付けたくない時。
一般的な形状としては平先止めネジが、推奨されます。
(相手の硬さ)より(イモネジの先端部硬さ)を柔らかくします。
(相手の硬さ)>(イモネジの先端部硬さ)
この様な硬さの違いに出来ない場合や、ねじ外周を横から止めネジで止める場合は、止めネジと相手との間に、緩衝材(真鍮押し等)(図7参照)を入れると良いでしょう。