「いもねじ」が消える日?って少しショッキングな表現ですが、私は本当に心配しているのです。もっとも、それは「いもねじ」全体に対してではなくて、小径「いもねじ」(M2以下)の事なのですが。 その理由を、少し長くなりますがお話ししましょう。
消える製造機械
市販されている「いもねじ」の多くは頭に六角の穴があいていて、そこに六角レンチを差し込んで回します。
これらをホーローセット・スクリュー(略して、ホーローセット、ホロセット等)と言います。
外径が細い・小径のホロセット(M1.6以下)になると、六角の穴も必然的に細くなります。
すると六角の穴と六角レンチの引っ掛かりが小さくなり、強く締め付けると穴や六角レンチがバカになります。(さらに小径のM2未満のホロセットになると、加工上から単価も高くなるようです)
そこで外径が細い、つまり小径の「いもねじ」(M1.6以下)は、すりわり溝にしてマイナスドライバーでねじを回します。すりわり溝とマイナスドライバーとは、しっかりと噛み合いますので強く締め付けても、すりわり溝やマイナスドライバーはバカにはなりにくいのです。
すりわり溝のことは、「マイナス溝」とか単に「マイナス」とか言われます。それに使うドライバーが、「マイナス・ドライバー」です。
それに対して、「十字穴」のことを「プラス」と言い、それに使うドライバーが、「プラス・ドライバー」です。
マイナスドライバーが入る「いもねじ」のすりわり溝は、自動旋盤で自動的に加工しますが、その様なスリワリ加工のできる自動旋盤を作る工作機械メーカーは、今は世界中を見渡しても有りません。
自動旋盤にはその制御方法により、カム式自動旋盤とNC自動旋盤とがありますが、ここで言う自動旋盤はカム式自動旋盤です。
今流行りのNC自動旋盤でも「すりわり付き」の「いもねじ」を作ることは可能ですが、コスト競争力に於いてはカム式自動旋盤の敵ではありません。
ただし、カム式自動旋盤と言っても全ての機種で「ねじ」の「すりわり加工」が出来るわけでは有りません。
弊社にあるのは野村精機のカム式自動旋盤ですので、野村精機の型番でお話します。