並目と細目の読み方ですが「並目」はJISでも我々でも「なみめ」と読みますが、 「細目」については、JISでは「ほそめ」となっていますが、我々は「さいめ」と言っています。
また、「並目ねじ」は「なみめねじ」、「細目ねじ」は「さいめねじ」と呼んでいます。
「細目ねじ」を「ほそめねじ」と呼ぶと、 何かスレンダーな(slender(英辞郎) - スマートな、か細い、ほっそりした、細長い)ねじを思い浮かべてしまいます。
同じ呼び径(太さ)のネジで並目ピッチと細目ピッチでは、確かに並目の方がねじ山が大きい分ガッシリした男性的な感じで、 細目の方がねじ山が小さい分スッキリした女性的な感じ、とも言えそうですね。
「ねじ呼び径」別の、「並目と細目」のピッチ比較表 | ||||||||||||
呼び径 | M1 | M1.2 | M1.4 | M1.6 | M1.8 | M2 | M2.5 | M3 |
M3.5 |
M4 |
M5 |
M6 |
並目 | 0.25 | 0.25 | 0.3 | 0.35 | 0.35 | 0.4 | 0.45 | 0.5 | 0.6 | 0.7 | 0.8 | 1.0 |
細目 | 0.2 | 0.2 | 0.2 | 0.2 | 0.2 | 0.25 | 0.35 | 0.35 | 0.35 | 0.5 | 0.5 | 0.75 |
呼び径ごとの、並目ピッチと細目ピッチの一覧表です。
止めネジのネジピッチは通常、並目ピッチを使います。JIS規格の止めネジは、全て並目ピッチです。
並目の方が細目に比べて、雄ネジと雌ネジとの噛み合いが大きくなりますので、ねじ山の強度は大きくなります。
つまり、ねじ山に大きな加重が掛かって、かつ繰り返しの締め戻しが行われる場合、雄ネジや雌ネジが「ボウズ」になる可能性が低くなります。
全長の短いすりわり付きイモネジを作るには、ねじ山部分が2山あれば、すりわり加工が可能です。 ですので、より短い短い全長が必要な時には、並目ピッチでなく細目ピッチを使うと、良いでしょう。
調整ネジとして使われるイモネジの場合は、ねじ山に大きな加重が掛かる事は少ないでしょうから、細目ピッチを使います。
これは調整精度の向上を目指しての事です。
(参考:M2ネジの、並目ピッチ=0.4mm、細目ピッチ=0.25mmです。)
細目ピッチのネジ精度を、より高く必要とされるのであれば、ご指定下さい。
弊社では、普通級のピッチ精度と、精密級のピッチ精度に分けて製作可能です。
普通級の場合、単独ピッチ精度で0.010mm以内、累積ピッチ精度で0.020mm以内です。
精密級の場合、単独ピッチ精度で0.005mm以内、累積ピッチ精度で0.010mm以内です。
但し、細目ピッチは受注生産品ですのでコストも高く、納期も長くなりますので、コストの低さや納期の短さを考えて、 並目ピッチのDEL規格の丸先止めネジを調整ネジとして使う事も、一案でしょう。
細目ピッチの方が、並目ピッチに比べて、ねじのリード角が小さくなります。 リード角が小さいと言うことは、多少の振動に対してねじが緩みにくい事になり、緩み止めを期待できます。
調整が済んだ後の、ネジロックをするまでに緩んでしまうのを、防止できることも期待されます。
細目ピッチの方が、並目ピッチに比べて、ねじ山の高さが小さくなる為に雄ネジを作る時、高いネジ精度が ねじ寸法に求められます。 また、雌ネジを作る時、下穴径の寸法精度も高くなります。
具体的なネジ精度は、並目ねじ と細目ねじ、ねじ の「はめあい区分」や ねじ呼び径により、その組合せは多岐に渡りますので、ここでは省略します。
ちなみに「はめあい区分」のJIS規格には、
『メートル並目ねじの許容限界寸法及び公差』B0209-1997と
『メートル細目ねじの許容限界寸法及び公差』B0211-1997に、
はめあい区分:精・中・粗、と3種類あります。
この区分は、新しいISOによる呼び方で、昔のJISでは、1級・2級・3級、と呼んでいました。
上記JISに、『ねじのはめあい区分と等級の対応』として下記の記述があります。
区 分 | 適 用 例 |
---|---|
精 | 特にあそびの少ない精密ねじ。 |
中 | 機械、器具、構造体などに用いる一般用ねじ。 |
粗 | 建設工事、据付けなど汚れやきずがつきやすい環境で使われるねじ、 又は熱間圧延棒へのねじ切り、長い止まり穴へのねじ立てなどのように、 ねじ加工上の困難があるねじ。 |