JIS B1117-2010「すりわり付き止めねじ」
① ねじの呼び(d):JIS規格のJIS B1117-2010「すりわり付き止めねじ」では、M3以下のねじの呼び(呼び径)のラインナップは、M1.2、M1.6、M2、M2.5、M3の5種類となっています。
そんな中DEL規格では1980年代の旧JIS規格の頃のねじの呼び(呼び径)までを含めた
M1、M1.2、M1.4、M1.6、M1.7、M2、M2.3、M2.5、M3の9種類としています。
(注:鉄製品とステンレス製品とでラインナップは若干異なります。)
② 呼び長さ(l):JIS規格のJIS B1117-2010「すりわり付き止めねじ」では、ねじの呼び長さ(全長)は、ねじの呼び(呼び径)にもよりますが、呼び径が規格上一番細いM1.2のねじの呼び長さは2.0㎜以上からで、2.0㎜未満の短い呼び長さについては規格として定められていません。
また、こちらも先端形状によって異なりますが、平先の場合は呼び径がM2.5と太くなっても規格上の呼び長さは2.5㎜以上からとなり、2.5㎜未満の短い呼び長さについては規格化されていません。
DEL規格ではネジを選択し使用する側に配慮し、JIS規格に定められていない短い呼び長さのネジも独自に規格化し、その上きめ細やかにラインナップする事で使用者側の利便性を高めています。
③ すりわり幅(n):JIS規格のJIS B1117-2010「すりわり付き止めねじ」で規定されているすりわり幅は、鍛造や切削・成形・焼結等の様々な加工方法に対応できるように考えられている事から製作可能範囲は広く取られています。
しかし切削加工でネジを製作している弊社からすると逆に製作可能範囲が広過ぎ、どの寸法を狙って製作すれば良いか混乱してしまうため、DEL規格では呼び径毎に使用するすりわりカッターの幅を決めて、すりわり幅をJIS規格に準拠しつつ、JIS規格よりも狭い範囲で設定し、製作しています。
④ すりわり深さ(t):DEL規格では、JIS B1117-2010「すりわり付き止めねじ」に規定されている呼び長さのすりわり深さについてはJIS規格通りの寸法を採用しています。
しかしDEL規格として独自に定めたJIS規格にない短い呼び長さについては、そのままJIS規格を採用してしまうとすりわり深さが深くなり過ぎてしまうため、全体のバランスと締め易さを考えてすりわり深さを独自に設定し、製作しています。
⑤ 平先の先端径(φdp):JIS B1117-2010「すりわり付き止めねじ」で定められているねじの呼び径がM3までの物についてはJIS規格に準拠しています。
JIS B1117-2010「すりわり付き止めねじ」で定められていない過去のねじの呼び径、M1、M1.4、M1.7、M2.3、については旧JIS規格に準拠しています。
⑥ とがり先の先端角度:呼び長さがJIS B1117-2010「すりわり付き止めねじ」で定められている物については規格通りの90°±2°で製作しています。
しかしJIS規格の中でも極端に呼び長さが短い物や、DEL規格として設定したJIS規格よりもさらに呼び長さが短い物は、有効ネジ長さを確保する目的から先端角度を120°±2°で製作しています。
⑦ 丸先の先端形状:JIS B1117-2010「すりわり付き止めねじ」では平先・とがり先・棒先・くぼみ先の4種類についての規格は定められていますが、丸先については既に廃止されているため定められていません。
DEL規格では既に廃止された丸先についても規格化しており、その先端形状(丸み)についてはJIS B1117-1980「すりわり付き止めねじ」の丸みを採用しています。
JIS B1117-1988「すりわり付き止めねじ」やJIS B1117-1995「すりわり付き止めねじ」にも丸先の規格は存在したが、丸みが弱く、ねじを強く締めた時の先端部の変形がネジ山まで及ぶ可能性が有るため、DEL規格では丸みが強かったJIS B1117-1980「すりわり付き止めねじ」の丸みを敢えて採用しています。