すりわり付き止めねじと、六角穴付き止めねじの、3規格の比較
表内の下線部をクリックすると、それぞれの規格表や、写真を表示します。 M1×2.0 とは、呼び径(太さ)=1mm で 全長=2.0mm の止めねじです。
ネジ先形状 | すりわり付き止めねじ | 六角穴付き止めねじ | |
---|---|---|---|
DEL規格(鉄) | JIS規格 B1117-1995 | JIS規格 B1177-2007 | |
平先 | M1×1.0 ~ | M1×2.0 ~ | M1.6×2.0 ~ |
とがり先 | M1×1.0 ~ | M1×2.0 ~ | M2×2.0 ~ |
丸先 | 1M×1.0 ~ | M1×2.0 ~ | JIS規格 ナシ |
くぼみ先 | 受注生産 (M1x1.0~可) |
M1.6×2.0 ~ | M1.6×2.0 ~ |
棒先 | 受注生産 (M1x1.0~可) |
M1.6×2.5 ~ | M1.6×2.0 ~ |
CCPoint (W Point) |
DEL規格 ナシ | JIS規格 ナシ | M2×2.0 ~ JIS 規格 ナシ |
ギザ先 | DEL規格 ナシ | JIS規格 ナシ | M3×3.0 ~ JIS 規格 ナシ |
- 平先の呼び径(太さ)x 全長
・ すりわり付き止めねじの、DEL 規格では M1x1.0 から。
・ すりわり付き止めねじの、JIS 規格では M1x2.0 から。
・ 六角穴付き止めねじの、 JIS 規格では M1.6x2.0 から。 - とがり先の呼び径(太さ)x 全長
・ すりわり付き止めねじの、DEL 規格では M1x1.0 から。
・ すりわり付き止めねじの、JIS 規格では M1x2.0 から。
・ 六角穴付き止めねじの、 JIS 規格では M2x2.0 から。 - 丸先の呼び径(太さ)x 全長
・ すりわり付き止めねじの、DEL 規格では M1x1.0 から。
・ すりわり付き止めねじの、JIS 規格では M1x2.0 から。
・ 六角穴付き止めねじは、JIS 規格に丸先は有りません。
呼び径のJIS規格では M1.6 より細いものは、すりわり付き止めねじの平先・とがり先・丸先、にのみ有ります。 また六角穴付き止めねじのJIS規格では、 M1.6 より細いものは、有りません。
全長のJIS規格では 2.0mmが一番短い全長です。これは、すりわり付き止めねじも六角穴付き止めねじも同じです。 弊社のDEL(デル)規格では、M1×1.0 (太さ1mm、全長も1.0mm)から規格化していますが、1.0mm未満の全長も受注生産品として、ねじピッチとネジ先の形状により製作可能です。
また弊社では、すりわり付き止めねじの、くぼみ先や棒先は受注生産ですが、M1.6 より細い呼び径も、2.0mmより短い全長も、製作可能です。
ねじを回す構造上の違い。(「すりわり」と「六角穴」)
すりわり付き止めねじ | 六角穴付き止めねじ |
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ネジに、フライスによる「マイナスの溝」が加工されている。 | ネジに、鍛造による「六角の穴」が加工されている。 |
マイナス・ドライバーで回す時、ドライバーの中心と、ネジの中心を合わせにくい。 | 六角レンチで回す時、レンチの中心と、ネジの中心を合わせやすい。 |
マイナス・ドライバーでネジを取り上げ(くっつき)にくい。 | 六角レンチでネジを取り上げ(くっつき)やすい。 |
ネジの外周に、「マイナスの溝」フライス・ベロバリの発生がある。 | ネジの外周に、「六角の穴」バリの発生がない。 |
この様に、「六角穴付き止めねじ」の方が、ねじを回すための構造上の違いから断然有利です。
ただ、「六角穴付き止めねじ」にはM1.6 より細いイモネジはありません。 また、「六角穴付き止めねじ」では径よりも全長が短いイモネジですと製作が困難になり、コストは「すりわり付き止めねじ」と比較して、相当高くなります。
強度の違い。(材質と熱処理による)
すりわり付き止めねじ
以下は、弊社DEL(デル)規格のデルスクリューについて述べます。
- DEL(デル)規格品の材質は、快削鋼とSUS303相当のステンレスです。
- 快削鋼は、ねじとしての強度は低いです。
- 快削鋼にもステンレスにも、ムク焼入れは出来ません。
- DEL(デル)規格品はご要望により、表面焼入れ(浸炭焼入れ等)が可能です。
- 受注製作品では、アルミ・真鍮(しんちゅう・黄銅)・SK4・S45C 等も製作可能です。
- SK4・S45C 材で製作すれば、ムク焼入れも可能です。
六角穴付き止めねじ
- 材質は、一般的に特殊鋼材やステンレスを使用しています。
- 鋼材製では、一般的に熱処理を施していますので、ねじとしての強度は高いです。
- 弊社提供の六角穴止めねじでは、ニッケル・クロム・モリブデン鋼を用いて熱処理をし、特に高い強度を誇っています。 また、六角穴止めねじの、くぼみ先では、M1.6×2.0以上に対応しています。
俗称の違い
すりわり付き止めねじ
- 『イモネジ』という言葉がどのくらい昔から使われていたのか、明確には判りかねます。が、六角穴付き止めねじができる前から、すりわり付き止めねじは存在していました。 そういった歴史の流れから、『イモネジ』とい言った場合は、多くの場合に「すりわり付き止めねじ」を指すことが多いようですが、現在は「六角穴付き止めねじ」も『イモネジ』と呼ばれるようです。
六角穴付き止めねじ
- 六角穴付きイモネジは、一般的にはホーローセットとか、ホロセットとか呼ばれています。
- ホーローセットとは、窪み(hollow)の付いた止めねじ(set screw)から、Hollow Set Screw(ホーロー・セット・スクリュー)が詰まって、Hollow Set(ホーロー・セット)になったようです。
- Hollowは、『英辞郎 on the WEB』のカタカナでの発音記号ですと「ハロウ、ホロー、ホロウ、」ですので、Hollow Setは、「ホーロー・セット」ではなく「ホロー・セット」と言うのが良いのでしょう。