ねじの軸力が低下してねじが緩んでしまう場合
まず始めにねじの軸力とは何かという説明をします。 ねじの軸力とは下図赤色矢印で表された力の事で、雄ねじ(の頭)とナットによって2枚の被締結物の間を縮めて(締め付けて)いく事で雄ねじに引っ張る力(引っ張る力=軸力)が発生します。 雄ねじには引っ張られる力に耐えよう、元に戻ろうとする力が働きます、この元に戻ろうとする力で被締結物を締結しています。 雄ねじの元に戻ろうとする力(引っ張る力=戻ろうとする力=軸力)以上に締め付けていくとねじが破損したり、ねじが千切れたりします。 軸力は締め付けた時に発生する力で締め付けてない時には発生しません、また軸力を大きくしたい場合は、ねじを太いものにして、締め付けの強さ(雄ねじを引っ張る強さ)を強くすれば軸力も大きくなります。
ねじの軸力が低下してねじが緩んでしまう場合は下記①~③の様な場合があります。
① 初期緩み
被締結物同士やネジの座面と被締結物が時間とともに馴染んで締め付けトルクが低下し、ねじを引っ張る力(軸力)も低下してねじが緩む現象で、これはある程度の時間が経過した後で増し締めすることで防ぐ事ができます。
② 座面や被締結物の変形や陥没による緩み
木材などやわらかい被締結物を締結した時、徐々に座面が陥没してねじが緩んでくることがあります。 対策として、被締結物に接触する座面の面積を増やし、圧力を分散させるのが効果的です。
③ 使用温度環境による緩み
ねじを使用する環境の温度が高温になり、雄ねじ金属と被締結物金属の熱膨張に差がある場合、緩みが発生することがあります。 ねじよりも被締結物の膨張が大きいとねじは締り、軸力が増す方向に行きますが、ねじよりも被締結物の膨張が小さいとねじが緩んでいくことになります。 熱膨張率の低い材質でねじを作り、膨張しても軸力が増す方向にすると防止出来ます、ただしあまりにも被締結物の膨張が大きすぎると軸力が増しすぎてねじが破損したり、ねじが千切れたりするので注意が必要です。